環境配慮建築の基礎知識:グリーンビル認証 LEED と CASBEE を徹底比較

環境配慮建築への関心が高まる中、グリーンビル認証は重要な指標となっています。本記事では、代表的なグリーンビル認証である LEED と CASBEE を徹底比較し、それぞれの概要、評価項目、メリット・デメリット、取得方法などを分かりやすく解説します。これからグリーンビル認証取得を目指す方や、環境配慮建築について深く知りたい方の参考になれば幸いです。


出典元:https://igb.jp/

はじめに

近年、地球温暖化や資源枯渇などの環境問題が深刻化し、持続可能な社会の実現が求められています。建築分野においても、環境負荷を低減し、人々の健康や快適性を向上させる「環境配慮建築」への関心が高まっています。

環境配慮建築を推進する上で重要な役割を果たしているのが「グリーンビル認証」です。グリーンビル認証とは、建築物の環境性能を評価し、一定の基準を満たした建物に認証を与える制度です。認証を取得することで、建物の環境性能の高さを客観的に示し、企業イメージの向上や入居率の向上、資産価値の向上などに繋げることができます。

数あるグリーンビル認証の中でも、世界的に広く普及しているのがアメリカの LEED と、日本独自の CASBEE です。本記事では、この LEED と CASBEE を徹底比較し、それぞれの概要、評価項目、メリット・デメリット、取得方法などを詳しく解説していきます。

LEED とは?

LEED (Leadership in Energy and Environmental Design) は、アメリカグリーンビルディング協会 (USGBC) が開発・運営する、世界で最も普及しているグリーンビル認証制度です。

LEED の特徴:

  • 包括的な評価項目: 省エネルギー、水資源の節約、CO2排出削減、室内環境品質など、建築物の環境性能を多角的に評価
  • 柔軟な認証レベル: Certified, Silver, Gold, Platinum の 4 段階の認証レベルを設定し、プロジェクトの規模や目標に合わせて選択可能
  • 国際的な認知度: 世界160カ国以上で導入されており、国際的な認知度が高い
  • 継続的な改善: 定期的に評価基準が見直され、最新の技術や知識が反映

CASBEE とは?

CASBEE (Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency) は、国土交通省が中心となって開発された、日本独自のグリーンビル認証制度です。

CASBEE の特徴:

  • 日本の気候風土に合わせた評価: 日本の気候風土や建築物の特性を考慮した評価項目を設定
  • ライフサイクルコスト (LCC) を重視: 建設から解体までのライフサイクル全体での環境負荷を評価
  • 多様な評価ツール: 新築、既存、改修、戸建住宅など、様々な建築物に対応した評価ツールを用意
  • コストパフォーマンス: LEED に比べて取得費用が比較的安価

LEED と CASBEE の評価項目比較

評価項目 LEED CASBEE
省エネルギー
水資源の節約
CO2排出削減
室内環境品質
材料・資源
敷地・立地
運営・維持管理
ライフサイクルコスト
地域性

※ ○: 重点的に評価、△: 一部評価

LEED と CASBEE のメリット・デメリット

LEED のメリット:

  • 国際的な認知度が高い
  • 最新の技術や知識が反映されている
  • 取得することで企業イメージ向上に繋がる

LEED のデメリット:

  • 取得費用が高い
  • 日本の気候風土に合わない部分もある
  • 手続きが複雑

CASBEE のメリット:

  • 日本の気候風土に合っている
  • ライフサイクルコストを重視している
  • 取得費用が比較的安価

CASBEE のデメリット:

  • 国際的な認知度が低い
  • 評価基準が LEED ほど厳しくない

LEED と CASBEE の取得方法

LEED と CASBEE の取得方法は、どちらも以下の流れとなります。

  1. 事前調査: 対象建築物の現状把握と評価
  2. 計画・設計: 認証取得に向けた設計
  3. 施工: 設計に基づいた施工
  4. 申請・審査: 認証機関への申請と審査
  5. 認証取得: 審査に合格すると認証取得

どちらの認証を取得すべきか?

LEED と CASBEE のどちらの認証を取得すべきかは、プロジェクトの目的や規模、予算などによって異なります。

  • 国際的な認知度を高めたい場合は LEED
  • 日本の気候風土に合わせた評価を受けたい場合は CASBEE
  • ライフサイクルコストを重視したい場合は CASBEE
  • 取得費用を抑えたい場合は CASBEE

などを考慮して、最適な認証を選択しましょう。

まとめ

本記事では、グリーンビル認証 LEED と CASBEE について、それぞれの概要、評価項目、メリット・デメリット、取得方法などを比較しました.

環境配慮建築は、持続可能な社会の実現に向けてますます重要になってきています. グリーンビル認証を取得することで、建物の環境性能の高さをアピールし、企業価値向上に繋げることが期待できます.

これからグリーンビル認証取得を目指す方は、本記事を参考に、それぞれの認証の特徴を理解し、プロジェクトに最適な認証を選択してください.

 

 

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